シンゴジラを評価。日本映画を変える程のインパクトがある
2020/06/10
あなたは映画
「シンゴジラ」見ましたか?
どう思われましたか?
私は久しぶりに映画の中に浸りきり前後不覚になってしまいました。(^_^;)
劇場から外に出た時、
気持ちの切り替えができずに、
自分が本当に生活している映画館の外の世界。
今迄見慣れた世界と違って見える。
そんな感覚を久しぶりに味わいました。
それ位今度のシンゴジラ、よい出来でした。
今日は次の点からシンゴジラの魅力を考えたいと思います。
目次
恋愛を絡める演出がない
監督は「新世紀エヴァンゲリオン」の
庵野秀明、
特技監督として「平成ガメラ」の
樋口真嗣です。
庵野さんは実写版映画として
「キューティハニー」、
樋口さんは
「ローレライ」「日本沈没」「進撃の巨人2作」などを監督しています。
独自の視点と表現で2人とも大いに尊敬する監督さんです。
ですが、
実写版で人間模様を深く掘り下げること、またそれらを面白く描くことでは少し物足りなさを感じていました。
ですから、今回のシンゴジラは正直、あまり期待はしていませんでした。
自衛隊や超兵器とゴジラとの戦いを幾ら激しくリアルに描いても最近の観客は見慣れていますから。
でも、それらの心配は見事に裏切られました。
今迄ゴジラを含め多くの映画の中で描かれた、主人公とヒロインの恋愛のシーンがありません。
1人ひとりの背負ってきた人間史的なものも描かれていません。
(元生物学教授:牧悟郎の遺品が鍵となるが彼自身については詳しく語られていない)
村を治める長老も出てきません。
あるのは、
主人公である内閣官房副長官・矢口蘭堂(長谷川博己)や様々な分野から招集された「巨大不明生物特設災害対策本部」のメンバーたちが国を思い、国を存続させるために懸命に努力する姿です。
主人公・矢口と米国大統領特使(石原さとみ)が心を通じ合わせる場面が少しありますが、これは日本という国を思う者同士としてのものです。
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圧倒的な力を持つシンゴジラに対応する日本政府、自衛隊。
会議の中で法律・制度を中心に議論で見事に物語を成立させている
物語は、会議や作業を中心に展開していきます。
圧倒的な破壊力をもつ不明生物(シンゴジラ)に対して、それまでの法律・制度に従った手順が全然間に合わず、また如何に無力であるかを。
不要な議論や会議とは?
また、一方で活発で建設的な議論を提示しています。
・指揮系統はどうなっているのか、
・どこで対策が立案されているのか、
・誰がどこでどんな材料を集め、兵器を作り上げるのか。
・これらを運用してゴジラに対抗するのはだれか。
これらがしっかり、しかも退屈に単調になることなく描かれています。
シンゴジラでは、自衛隊の超法規的・別組織やどこで誰が作り上げたのかと疑問に思うような不可能を可能としたレーザー光線などのスーパー兵器は出てきません。
いかに今現在、存在する組織や保有する兵器、機材でシンゴジラに対抗するかが見ものなのです。

主人公、矢口を中心に会議や不眠・不休での作業を通じて、シンゴジラ対策を進めていきます。
2時間という映画の制約がありますので、庵野監督はキャストの方々に早口で話すよう求めたそうです。
ですから観客は一言ももらさず神経を集中させる必要があります。
一息つけるシーンはあまりありません。
ロマンスなどが全然なく、たそがれるシーンがほとんど無い映画なのですから。
実はよっしーは、3日間で2回この映画を見に行きました。
1回目よく分からなかった議論・説明も2回目はバッチリわかりました。
大人の理由で出演する新人俳優がいない/
大人の理由で流される音楽がない
新人俳優のたった一言のセリフで急に気持ちが止まる。
新曲が流れて(特にエンディングやエンドロール時)、物語との関連や雰囲気を壊さないか不安になる。
このようなことは一切ないです。
この映画は非常に贅沢です。
名だたる多くの俳優が一言のセリフ、一瞬の登場だけで出演しています。
しかもそれぞれの俳優の持ち味である特徴(クセ?)を極力排除しているように思えます。
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エンドロールにも注目
まず、注目したいのがシンゴジラから逃げ惑うエキストラのみなさんです。
多くの素人さんが参加しているはずなのにみんな鬼気迫る演技なんです。
今迄数多くの映画を見てきましたが、中には明らかに逃げるテンションが違う人もいて興ざめする一因になっていました。
もちろん、人によって驚いたり必死になったりするリアクションが違います。
ですが今度のシンゴジラでは不自然なものはありませんでしたね。
地下街に逃げ込んでも、少しでも奥へ安全なところへ列車の中へという人々の気持ちが伝わってきました。
3.11を経験したからこそ、本当の災害にオーバーラップして物語の中に入っていけるのでしょう。
監督をはじめスタッフの心意気が伝わってきます。
それはエンドロールにも表れていて、
自衛隊マーチと共に主演3人以外はキャストのみなさんはビッグネームも含めてなんと50音順で一覧表のような形で一気に流れます。
映画の尺をも考えてのことだと思いますが、CG製作などスタッフ裏方さんの名前は仕事・係名と共に出てきています。
庵野監督がスタッフをいかに大事にされているか伝わってきました。
野村萬斎さんの名前がキャスティングの最後に独立してましたが、はて何の役かなぁと思ってしまいました。
ネットで調べてみると・・・・
なるほど~。
最後に
恋愛を絡めず、会議や議論、段取りで面白く物語りを構成してゆくこと。
第3者的な要素に惑わされない、軸がぶれていない映画作りが感じられます。
庵野監督と樋口特技監督はじめスタッフの方々の並々ならぬ決意を感じました。
1954年公開の黒白作品「ゴジラ」以来の名作であり、今後の映画作りを変えてゆく作品になると思います。
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